掃き溜め。

強い感情が募ってどうしようもなくなったとき、ここに吐き出すことにした。ふう。

飛行機の詩

生まれてこの方うんじゅっかい目の空の旅

到着先での冒険にわくわくしている

遅れたらすべてが死ぬから

早めに乗った朝一の特急列車

早めにつきすぎて何もすることがない

オンラインチェックインってどうやればいんだっけ

おなかがすいたけどなんでドーナツに500円も払わなければならないの

でもこんなこともあろうかと

持ってきたんだグレートギャッツビー

移動時間を生産的に

使う私は飛行機マスター

文字を見るとめまいがするけど

本ってブルーライト以上に目に悪い光線出てる気がするよね

やっと搭乗時間だ

重たい荷物を持って列に並ぶ

遅い 進まない 遅い

そーりーとつぶやきながら狭い通路をかき分けて

たどり着いた窓際の席

小さな景色に寄りかかりながら

愛しのスマートフォンにさよならを言った

窮屈な筒に閉じ込められて

離陸の瞬間を待つ

コンクリートの大地を発って

深緑の上を飛ぶは空のエンタテイメント

明かりが落ちる

轟音と振動が

子供が隣の席で泣き出した

どうして私の近くにはいつも幼児が座っているの

耳が圧迫される感じがする

研究開発により培った独自の喉の動きのテクニックにより鼓膜を解放する

ギャッツビーに目を落とす

わからない英単語がある

グーグルできない

意識が遠のく

首の痛みで目を覚ます

トイレに行きたいってときに乱気流

シートベルトサインが点灯する

閉じ込められた尿意はもうどこへも行かない

体をストレッチする

エコノミークラス症候群で死んだ人の話を思い出す

乱気流から我らはどうやら生き残ったらしい

映画を見ている人の膝の上を飛び越えていく

友達とやったテトリスバトルを思い出す

トイレを流すときのあのすごい勢いにおびえながらボタンを押す

絶対買わない課金機内飲食サービスが通り過ぎるのを待つ

今現地時刻は何時だろうか

みんなは何をしているかな

スマホの写真をスクロールしているうちに

また瞼が重くなってきた

着陸のときには

また赤ちゃんが泣いている

私はもしかしたら死ぬのかもしれない

密閉された箱から出たい気持ちを抑えるために

また深呼吸をした

ベルト着用サインが消える前にベルトを外す音がする

エンジンが止まる

早く外に出たい

出たい出たい出たい出たい

ドアが開かない

列が進まない

進まない 遅い 進まない

重たい荷物をなんとか取り出して

狭い通路を出口へ向かって進んでいく

赤ん坊はもう泣き止んでいた

外は悪くない天気だ

少しばかり暖かいかもしれない

どんな旅になるのだろうか

今度飛行機に乗るときの自分は

どんなふうになっているのかな