掃き溜め。

強い感情が募ってどうしようもなくなったとき、ここに吐き出すことにした。ふう。

おばあちゃんは生命でいきいきしている

おばあちゃんはしわしわである。

おばあちゃんの手指はしわしわである。肌はくすんでところどころ茶色の斑がある。形は全体的にずんぐりむっくりしてて、握ると固くてぱさぱさしているものの、手の脂による光沢感と滑らかさ、ぶよぶよした肉の感触、ベッドシーツを撫でるときみたいにしゃかしゃか動く皮膚、骨の弾力、手のひらに深く刻まれたしわなど、生気であふれている。少し冷たいかもしれない。

さらに驚くべきことに、動き出すとおばあちゃんの手は活力溢れる様相を見せる。お茶を淹れる手つき。どっしりとした手で電気ケトルを持ち上げ、ゆっくりとしているが断固として流しに持っていき、水を満たす。重たいものを持ち上げる時のため息、呼吸。ケトルのスイッチは人差し指でタップするように恐る恐る押す、それはきっとおばあちゃんのお茶目で可愛い性格を表している。いつも記憶力が衰えてきたと漏らす割に、お茶の缶、匙の位置はしっかり覚えている。積み重ねてきたものの大きさは伊達ではない。昔のことならその時一瞬流行った芸能人とか、昔のちょっとした事件で現代にもその残骸・爪痕を残しているようなニュースとか、若い者どもがどうやっても手の届かないような情報を覚えている。昔のもっと混沌としていて騒々しい、地域とか、親族とかのコミュニティに束縛されていて、裏道に抜け道、何でも利用して、周りに利用されつつ、それに気づかずに、それでも周りと関わって、労働して、消費して生き抜いてきた歴史。伝説的だ。これからも強く図太く生き抜いていくおばあちゃんなのだ。